原発問題の未来
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原子力の将来について少し考えてみました。
まず最初に、3月11日に起きた東北関東大震災により被災された皆さまには謹んでお見舞いを申し上げます。
本来なら被災地の被害状況や復興状況が最も注目されるべきなのでしょうが、やっぱり皆さんが一番気になっているのは原発問題だと思います。僕もそうです。
なぜなら、原発問題は放射能漏れが一段落しない限り、潜在的リスクが無限に存在するからです。一刻も早く改善に向かい、復興に全力を注げる体制作りをしたいですね。
今回の震災によって、僕自身とても反省したり、様々なことに気づき、考えさせられました。
原発についても、これまで安全なクリーンエネルギーだと思っていましたが、実際そう簡単にはいかないものだと思いました。
既に色々な所で議論が始まりつつありますが、将来的に日本全土で原発推進派と原発反対派の議論が起こるのは間違いないと思うので、日本の原子力発電所についての自分なりの未来予想を考えてみたいと思います。
僕は専門家でもなんでもない素人なので、全く見当違いのお話をするかもしれませんが、お時間のある方は最後まで読んでいただければ幸いです。
原発反対派の意見
今回の事故をきっかけに、原発反対派の人はすごく増えると思います。
もう既に東電本社前ではデモが起こった話も聞きましたし、これから頻繁に反原発の話は出てくることでしょう。
原発反対派の意見はおよそこのような感じだと思います。
理由その1:原子力は危険。とにかく放射能をまきちらすような物は危なすぎる
実際、原子力発電というのは放射能と隣り合わせですから危険です。
しかし、原発がなくなると以下のような問題が出てきます。
- 電気料金の値上げ
- 日本の電力の約35%が原子力発電によって賄われています。
つまり、35%分の電力が確保できなければ、東京のような計画停電が起こったり、電気代が著しく跳ね上がったりしてしまうわけです。 - 原発関連の雇用がなくなる
- 現在、原発には東京電力や東芝、日立などはもちろん、下請けの関連会社を含めて多数の人が関わっています。
もし日本に原発がなくなれば、その人達の働く場所がなくなります。 - 原発の技術が衰退する
- 現在、日本はフランスと共に原発推進国であり、アメリカなどに原子力発電所を売る立場にあります。つまり、日本の原発の技術はそれだけ優れているということです。
今回の事故が起こってしまったことで、今後継続的に日本の原発の受注が取れるかどうかはわかりませんが、もし日本が原発をやめてしまったら、日本の原子力関連の技術は衰退していくでしょう。
アメリカはスリーマイル島の原子力発電所事故以来、新たに原発を作るのをやめていましたが、オバマ政権がクリーンエネルギー政策を推し進めたことから、約30年ぶりに原発の新規発注を行っていました。
これを日本に丸々置き換えてみて下さい。
今日本が原発をやめて、仮に(新しく安全な技術が確立されたりして)30年後再開することになった場合、もう日本は最新の原子力発電所を作る技術を持っていません。
今は原発を売る側の日本ですが、30年後には何倍もの値段を出して海外から買う立場になるでしょう。(これについては三菱重工や東芝、日立の各社は海外に技術者を派遣するなどして、技術を守っていくと言っています)
理由その2:原発がなくても代替エネルギーがある
原発反対派の第二の意見は、原子力発電に頼らなくても、代替エネルギーがあるという意見です。
実際には原子力発電のコストは理論値より高く、クリーンエネルギー開発は思ったよりも進んでいて、実用レベルになっている。ということを言っている人もいますが、電力を作る上で最も重要なのは『安定な電力を供給すること』であり、これにはいくつもの実験と検証を行わなくてはなりません。
将来的に太陽光や風力などのクリーンエネルギーが活躍するとしても、現時点では電力の安定性やバードストライク、低周波問題など、様々な問題があり、今すぐ全てをそれらに切り替えること自体無理な話なのです。
もしクリーンエネルギーに替えて、電力が安定せず大停電を引き起こしたら、それこそ計り知れない程の問題が起こるでしょう。
原発をやめることで国力の低下を招く
結局、原発をやめることは安定的な電力、雇用、技術を失ってしまうことになります。
電気料金が跳ね上がり、雇用が減り、原発を海外に売り込む技術が失われれば、一般の人はなんとかやっていけても、低所得層の人達の生活が脅かされ、それは国力の低下を招くことになってしまいます。(富裕層は電気料金が3倍になっても支払えますし、原発で働かなくても働き口は沢山あるのでしょうが)
これは、日本の経済面から考えると大きな問題点だと思うのです。
原発推進派の意見
逆に、原発推進派の意見はおよそこのようなものだと思います。
理由その1:原発は安全である
原発は安全。もし何かあってもその反省を糧に、より安全に作り変えればいいだけの話。
原子力発電に比べて、自動車の方が毎年多くの人を殺しているじゃないか。
こんな感じだと思います。
原発推進派の人は、一般的に権力のある人達に多いようで、話のすり替えがとても上手い。。。
また、原発には少なからず天下りや利権問題が絡んでいることも周知の事実です。
(原子力保安院は天下り、テレビ局の役員は費用全額東電持ちで旅行に行ってたという報道もありましたし、電力会社はコストの上に利益を乗せることができる特別な仕組みになっているので、原発に多額のコストをかけることで利益を上積みしてるという話も・・・)
原発は本当に安心なのでしょうか?
これまでに多くの原発関連事故が世界で起こっていますが、有名な所では
- スリーマイル島原子力発電所事故(1979年)
- チェルノブイリ原子力発電所事故(1986年)
- 東海村JCO臨界事故(1999年)
- 福島第一原子力発電所事故(2011年) ←今回
などがあります。
これを見る限り、約10年に1度のペースで大規模な原発事故が起こっています。
10年に一度のサイクルで起こっていては、とても安全とは言えません。
その他にも日本では高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故や、現在問題になっている炉内中継装置の落下事故など、他にも大きな問題にはなっていないものの、調べてみると日本の原発関連のトラブルってすごく多いです。
また、核燃料を燃やすと『プルトニウム』という放射線を出す非常に危険な原子が生成され、これの処理が問題となっています。
現在プルトニウムは『プルサーマル』というタイプの原子力発電所の燃料として再利用される傾向にあるようですが、それでもプルトニウムそのものが減るわけではありません。
また、核燃料のゴミ『放射性廃棄物』の最終処分場もどこに建設するか問題となっています。
プルトニウムの半減期は24,000年と言われていますし、放射性廃棄物についても何十年も冷やし続けた上に最終処分場の地下に貯蔵しなければなりません。
近い将来ITや電気自動車の時代が来ると、電力需要の爆発的増加は簡単に予想できますし、電力需要の増加を原発で賄うと、プルトニウムや放射性廃棄物は膨大な量に膨れ上がっていくことが予想されます。
無限に増え続ける大きなリスクを何十年、そして何万年と抱え続けなければならないのです。
プルトニウムを燃料にしたプルサーマルが増え、膨大な放射性物質を抱えながら10年に一度のペースで比較的大きな原子力発電所の事故を起こしていると考えれば、半減期となる24,000年を迎える前に世界中は事故の度に飛散したプルトニウムで埋め尽くされ、人類は間違いなく滅びるでしょう。
現在は『自動車の方が人を殺している』と言えるかもしれませんが、車や飛行機が人類を滅亡させることはありません。
しかし、放射性物質は原発や原爆の規模が大きくなれば、一発で人類を滅亡させる可能性のある潜在的なリスクを抱えていると同時に、核実験や10年に一度のペースで起こっている原発事故の際に飛散する放射性物質によって、少しずつ我々の体を蝕んでいくのです。
途方もないくらいの遠い未来の話ですが、放射性物質を除去するものが研究開発されるか、人間が多量の放射線を浴びても問題ない体に進化するか、100%安全な原子力発電所が完成しない限り、24,000年後に多くの人類は生き残っていないと思うのです。
問題の解決には時間が必要
では、実際にこれからの日本の原発はどうなるのか?ということですが、これは僕の予想にすぎませんが、おそらく原発の「賛成」、「反対」の議論は永遠に解決しないと思います。
しかし、目先では約30年後にその答えは出るんじゃないかと思います。
まず最初に言えるのは、今回の事故をきっかけに、日本国内での新たな原子力発電所の建設は当分の間無理だということです。これはほぼ間違いないでしょう。
では、なぜ30年後に一つの答えが出るのかというと、アメリカがそうだったからです。
先ほども少し述べましたが、アメリカは1979年にスリーマイル島原子力発電所事故が起こり、それ以降、新規原発の建設は見送られてきました。
しかし、30年経つと人間は忘れてしまうのか、オバマ政権になり再び原発が推進されるようになりました。
日本も同様で、これからの30年の間に絶対的な代替エネルギーが確立され、原発必要ないよ。って話になれば、30年後以降も新たに原発が作られることはないでしょう。
しかし、もしそのような代替エネルギーが見つからなければ、問題が落ち着いた頃に再び原子力発電所が建設されるようになると思います。
ですが、その時にはもう売り込む側ではなく、買う方であるということも忘れてはいけません。
重要なのはこのテーマについて考えること
最も重要なのは、原発についてみんなが興味を抱き、議論することだと思います。
そして、今後30年の間に、反対派は原発がいかに便利なのかを、賛成派はいかに原発が危険なのかを知ることで、より高い次元の議論が出来るようになると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました
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