愛は脳を活性化する、世の中を良くするたった1つの方法
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「愛は脳を活性化する(松本元 著)」という本を読みました。
この本は、松本元さんという脳科学者の方が、主に脳の仕組みや脳型コンピューター(人工知能)に関する内容を、私のような非科学者でもわかるように書いた本です。
私がこの本を読んだ理由は、ソフトバンクの孫正義社長がこの本を愛読していたということだったので、興味本位で手にとってみたのがきっかけです。
孫正義は、人工知能の脳型コンピューターの研究者であった松本元氏の著書である『愛は脳を活性化する』を愛読していた。その本が、人間の意思の力というものを科学的に証明しているからだと思う
引用:ソフトバンク「常識外」の成功法則
昨今、人工知能(AI)が話題となっていますが、孫社長がこの本を読んでいたというのは今から7年ほど前、ソフトバンクが「ソフトバンク新30年ビジョン」を発表した2010年頃の話です。
当時のソフトバンクのプレゼンテーションでは、「人工知能」や「AI」と言った言葉は使われておらず「脳型コンピューター」という言葉が使われていました。
「愛は脳を活性化する」に書かれている内容は、前述の通り脳の仕組みや脳型コンピューターに関すること、そして書籍タイトルである「愛は脳を活性化する」という自己啓発的な内容もたくさん盛り込まれています。
しかし、この本が面白いのは自己啓発的な内容を自己啓発として書いているのではなく、あくまでも脳科学の見地から書かれていることです。
今回は、私がこの本を読んで感じたことをまとめます。
脳は外部から受けた刺激を「快」と「不快」に分ける
脳が活性化することで人は精神的に成長したり、賢くなったり、様々なことができるようになります。これは一般的にも知られているところです。
では、どうすれば脳はより活性化するのか。
その答えとなるのが、相手に「快」の情報を与えることです。
人間は外部から受けた刺激(インプット)を「快(嬉しい)」または「不快(嫌い)」の2つに分類します。
そして、「快」の情報を受け取ると脳は活性化し、「不快」の情報に対しては脳は反応しにくいという特性があります。
この話を一言でまとめると、脳科学的に「褒めて育てろ」という言葉が正しいということになります。
例えば、自分の部下を教育する場合、「褒めて育てる」人と「叱って育てる」人がいます。
相手のタイプによっても育て方は変わりますし、褒めることも時には叱ることも必要なのは言うまでもないのですが、「褒めれば褒めるほど脳が活性化する → その人の成長が早くなる」という脳の仕組みがあることは、知っておいて損はなさそうです。
また、仮に自分が情報を受け取る側に立った場合でも、
精神的な痛みを伴うために不快ととらえがちなことも、「自分にとって価値がある」と思えば、脳は活性化され、問題解決へ向けて自律的に脳の回路が形成されていくのである。
いつも喜び、感謝する気持ちがあれば、どんなことにも対処できる道を脳は生み出すことができる。
と、松本元氏はいいます。
自分が教える側に立つときは「できる限り褒めて育てる」、そして自分が教えられる側に立つときは「酷い内容でも価値があると前向きに受け止める」。これが脳の活性化、つまり成長への近道です。
脳は受けた情報をそのまま返す
当然といえば当然ですが、人間は自分のことを好きになってくれる相手に対しては好意を抱くし、自分のことを嫌う人間に対しては敵意を抱きます。
つまり、「快」の情報を与えてくれた人には「快」の反応をするし、「不快」な情報を与えてきた人には「不快」の反応をします。
毎日自分のことを叱ってくる上司がいたとしたら、その人のことが嫌いになります。
相手が親切にしてくれたら、自分も相手に親切ししなくてはならないって思うのが人間です。
動物の情動応答は、相手から不快な情報を得たと思うと、その相手に不快な応答を返し、快の情報をくれたと思う相手には快の応答を返すというものである。われわれ人も、基本的にこれと同様である。
相手に好かれたければ、まず最初に自分が相手のことを好きになり、相手が「快」と思ってもらえるような情報を提供する。そうすれば相手も自分に対して「快」を返してくれるはずです。
この話を一言でまとめると、脳科学的に「異性は褒めて口説け」という言葉が正しいということになります。
好きも嫌いもその周りに伝染していく
これは、多くの人が人生で経験していることかと思います。
「快」も「不快」もダイレクトに「送り手 ←→ 受け手」を行き来するだけでなく、その周りに伝染していく特性があります。
これは事例をあげた方が理解しやすいと思います。
上司である私が、WEBライターの仕事をしている部下を毎日叱って「不快」を与え続けるとどうなるか。
まず最初に、その部下は上司である私のことを嫌いになります。不快な情報を与えてくる相手に不快を返している状態です。
しかし、これが続くと両者が敵意を抱いて関係性が壊れるだけでなく、その周りにも「不快」が伝染します。
例えば、部下の立場からすると、最初は「不快」を与えてくる上司が嫌いなだけだったのに、いつの間にか「書く仕事」自体が嫌いになってくる。
さらには、「(WEBライターだけに)インターネット」という存在が嫌いになってくる。
逆に上司の立場からすると、最初は部下の仕事内容が気に入らなかっただけなのに、そのうち部下の態度まで気に食わなくなる。
さらには、その部下本人だけでなく、その部下と同じ年齢の人間が嫌いになる。(最近の若いやつはけしからん的な)
このように、「不快」を与え続けられると、「不快」の根っこであるものとは直接的には関係がないものに対してまで「不快」を示すようになってしまいます。
脳がこうした特性を持っていることを知っておけば、自分が部下にの立場である時には「上司が嫌いなのと、WEBライターの仕事とは関係がない」、上司の立場である時は「部下の仕事ぶりが問題なのであって、態度は関係ない」といったように、問題の本質とそうでないことを切り分けて考えることができます。
物事を切り分けて考えることは本質をブラさないためにはとても重要なことで、これを意識すると「(上司のことは嫌いだが仕事はきっちりこなす)より良い部下」「(叱りはするが、それは問題がある部分に限定されている)より良い上司」になれるはずです。
人は人の真似をする生き物
人は人の真似をする生き物です。
そして、それは地位の低い人が地位の高い人(上に立つ人間)の真似をすることが圧倒的に多いということも多くの人が感じるところでしょう。
上司が部下に憧れを抱くというのはあまり耳にしませんが、部下が上司に憧れを抱くケースはとても多く、誰もが経験したことのあることだと思います。
書籍「愛は脳を活性化する」には、下記のようなエピソードが書かれています。
著名なバイオリン講師の鈴木慎一氏のもとには、多くの子どもが「バイオリンを習いたい」と鈴木氏に指導を求めてくる。
しかし、鈴木氏はその子どもたちにバイオリンは持たせない。
なぜかというと、大抵の場合、子どもが「バイオリンを習いたい」と鈴木氏の教室にやってくる理由は、「親に言われて」だから。
嫌々指導を受ける「不快」の状態では、どれだけバイオリンを練習しても上達は遅い。
そこで鈴木氏はまず最初に親にバイオリンを持たせ、一曲弾けるようになるまで親に指導をする。
すると、それを見ている子どもが親のバイオリンを弾く姿を見て「自分もやってみたい」と自発的に思うようになる。
そうなったところで、子どもにバイオリンを持たせて指導を始め、学習効果を高める。
この話からもわかるように、地位の低い人が地位の高い人(上に立つ人間)の真似をすることはとても多く、そしてそれは「真似をする側」にとって強烈な力になります。
上に立つ人間が正しい人間であることが世界を良くする
以前から感じていたことなのですが、「上に立つ人間」であるほど、下の人間に対してお手本となるような正しい生き方をしなければならないと思っています。
上に立つ人間が良い行動をとれば、それが下に伝染し良い社会が形成されます。
逆に、上に立つ人間が悪い行動をとれば、それが下に伝染し悪い社会が形成されてしまいます。
そして、「上に立つ人間」というのは、特定の限定された人ではありません。誰もが上に立つ人間の立場になることがあるということです。
兄弟という単位では、兄は上に立つ人間です。
家族という単位では、親は子にとって上に立つ人間です。
学校という単位では、先輩は後輩にとって上に立つ人間です。
会社という単位では、社長は社員の上に立つ存在ですし、上司は部下の上に立つ存在となります。
特定のグループでなくても、単純に年齢が下の人にとって、年齢が上の人は上に立つ存在です。
また、芸能人や著名人などに憧れを抱く人も多いでしょうし、お金を持っている人に対して憧れる人も多いです。
どのような形であっても、誰もが立場ある人間になり、そして立場ある人間が正しい行いをすることが、より良い社会を持続的に形成する方法だと思うのです。
言い換えるならば、良い行いをする人間は上に立つべきだし、悪い行いをする人間は上に立つべきではないと思います。
その人の能力ではなく、倫理観や信用によって上に立つ人間が選ばれるべきであると考えます。
私自身はこれまでの人生で、決して良い人間ではなかったと思います。なぜなら、こんなことを考えたことは一度もなかったからです。
しかし、私ももうすぐ34歳になりますし、このような考えを持つようになってから、これからは「自分が理想とする人間になることが理想的な世界を作る手段だ」と思い、真面目に生きていこうと思いました。
私が60歳になるまであと26年と決して長くはありませんが、これからは年を重ねるごとに、上に立つ人間の一人として、世の中のためにも下の人間に恥じない生き方をしていこうと。
最後まで読んでいただきありがとうございました
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