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たった一人で株式会社を作る方法とその手順

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一人でできる会社設立

自分一人で株式会社を作る方法を紹介します。
抜けている所があるかもしれないので、何かあればご指摘ください。

今回は、社員が自分だけの「一人会社」を作る場合を前提とします。
(発起人、出資者、代表取締役、すべて自分一人だけで設立する場合)

この手順どおり一つずつ進んでいけば、誰でも会社は作れる!と思います。

社名などを決める

まず最初に会社名などを決めておきます。
決めておくのは以下の5つです。

  • 会社名(商号)
  • 事業目的(将来やりたいことも定款に記載できるので決めておく)
  • 本店の所在地(自宅でもOK)
  • 資本金の額(現在は資本金1円で会社は作れます)
  • 決算月

実印登録と会社印の作成

市役所に行って、個人の印鑑の「実印登録」をします。
その時、印鑑証明書を何枚かもらっておきます。(3ヶ月以内のもの)

続いて、会社印を作ります。
印鑑の制作には時間がかかるので、早めに作っておいた方がいいです。
基本的には「会社代表者印(代表印)」があればOKですが、

  • 会社代表者印
  • 会社の角印
  • 銀行印

の3つをセットで注文するのが普通です。

定款の作成

次に、会社の定款を作成します。
定款とは、株主構成や株式の数、事業内容など、会社の決まりごとをまとめたものです。

「会社の作り方」みたいな本を何冊か買うか、ネットで探せば、定款のサンプルや作成の注意点はいくらでも見つかります。

同じ物を3つ作って定款の認証を行います。

定款認証をする

次に、「定款の認証」をしてもらいます。
近くの「公証人役場」に出向いて、作成した3つの定款をチェックしてもらいます。

作成した3冊の定款は、以下の3つになって返ってきます。

  • 定款(公証人役場が保管するためのもの)
  • 謄本(法務局に提出するもの)
  • 定款(会社が保管するためのもの)

修正も無料でしてくれますが、事前に持ち込んで確認してもらうとよいです。

この時に以下の金額が必要です。

  • 収入印紙4万円
  • 認証手数料5万円
  • 謄本交付手数料(250円×定款枚数)

銀行への資本金の払込

定款の認証が終了したら、自分の個人口座に資本金を払い込みます。

払い込んだことを証明するため、銀行通帳の『表紙、裏表紙、払込金額が表示されているページ』の3ページのコピーを取ります。

会社の銀行口座は設立後でないと作れないので、ここで言う銀行通帳は個人名義のものです。

法務局への提出書類の作成

次に法務局に提出する書類を作ります。
わからないことがあれば電話でもOKですし、直接法務局に出向いて聞いてもOKです。
相談コーナーがあるので、ていねいに教えてくれます

各提出書類の詳しい内容やひな形は、「会社の作り方」みたいな本や、ネットで探すとサンプルが見つかるので、それらを参考にして作るといいと思います。

▼法務局に提出するもの

株式会社設立登記申請書
株式会社の登記申請をしますよ。という内容を書いたもの。

収入印紙貼付台紙(白紙でOK)
登録免許税として収入印紙を貼る紙。登録免許税はほとんどの場合15万円。

謄本
公証人役場で定款認証を受けたもの。

印鑑登録証明書
個人の実印の印鑑証明書。

発起人決定書
株式会社を作りますよ。という宣言。代表取締役や本店、資本金の額を記載。

払込証明書
資本金を払い込みましたよ。という文面を書いた書類1枚と、通帳の表紙、裏表紙、資本金が払い込まれた部分を示したページのコピー。合計4枚を閉じる。

OCR
専用のOCR用紙に記述する必要があるらしいが、現在はCD-Rにデータを入れて、そのCD-Rを提出すればOK。(OCR用紙は法務局に置いてありますが、私はCD-Rで提出したので使いませんでした)

印鑑(改印)届出書
会社印の届出書。

以上が設立登記の際に法務局に提出する書類です。

法務局に書類一式をまとめて提出

上記の書類をまとめて法務局に提出します。
提出した日が「会社設立日」になります

登記完了日に再び法務局へ出向いて「印鑑カード交付申請書」と「印鑑証明書及び登記事項証明書交付申請書」を提出し、印鑑証明書や履歴事項全部証明書を取得します。
(現在は登記完了の時に印鑑カードがもらえるので、カードを専用の機械に入れると簡単に印鑑証明書や履歴事項全部証明書が取得できます。)

会社設立後にやる作業

会社設立まではそれほど大変ではありません。
結構大変なのが、会社を設立した後のさまざまな手続きです。

それから、とりあえず最初にやっておきたいのが金融機関への口座開設。
法人用の銀行口座開設や各種サービスの名義変更、クレジットカードの発行申し込みです。

税務署に提出する書類(設立後)

法人設立届出書
添付書類として定款のコピーと履歴事項全部証明書を付ける

青色申告の承認申請書
青色申告の適用を受けるための書類

給与支払事務所等の開設届出書
自分に給料(役員報酬)を出すのであれば必要

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
毎月支払う必要がある源泉徴収税を年2回にまとめて支払いたい時に提出

提出書類のひな型は、ほとんどネットからダウンロードできます。

履歴事項全部証明書はいろいろな所に提出する必要があります。
履歴事項証明書と登記事項証明書と商業登記簿謄本は基本的に全部同じ意味らしいです。

私のように、これまで個人事業主をしていて、新たに法人成りをする場合は、上記に加えて

  • 個人事業の開廃業等届出書(廃業届)
  • 事業廃止届出書

の提出が必要です。

市町村の税務課に提出する書類(設立後)

法人設立届出書
添付書類として定款のコピーと履歴事項全部証明書を付ける

提出書類のひな形はネットからダウンロードできますが、電話すると郵送で必要な書類を一式送ってくれます。

県税事務所に提出する書類(設立後)

法人設立届出書
添付書類として定款のコピーと履歴事項全部証明書を付ける

提出書類のひな形はネットからダウンロードできますが、電話すると郵送で必要な書類を一式送ってくれます。

年金事務所に提出する書類(設立後)

健康保険・厚生年金保険新規適用届
添付書類として履歴事項全部証明書を付ける

健康保険・厚生年金保険保険料口座振替納付申請書
保険料を口座振替で支払いたい場合に提出

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
従業員を雇わず、社長一人の会社でも提出が必要

健康保険被扶養者届
家族を被扶養者にする時に必要

提出書類のひな形はネットからダウンロードできますが、電話すると郵送で必要な書類を一式送ってくれます。

その他

個人事業をやっていて、小規模企業共済などに加入している場合は、継続の手続き(同一人の納付月数通算)が必要です。これも電話すると必要書類を送ってくれます。

従業員を雇う場合は、別途、労働基準監督署やハローワークに書類を提出する必要がありますが、現在私は従業員を雇っていないため、手続きは先送りしています。

会社設立のアドバイス

私は全部一人でやってみましたが、正直言ってかなりめんどくさいです
自分でいろいろ調べたり、書類を作る時間を考えると、効率性を求めるなら手数料を支払って司法書士に全部任せた方が無難です。

それでもせっかくの会社設立なので自分の手でやりたいという方は、上記手順を参考にしていただければ幸いです。
自分で作るのも、いい思い出になりますよ^^

わからないことがあれば法務局や公証人役場など、しかるべき所に電話して聞くと、ていねいに教えてくれます。
実際に書類を持ち込んで聞いてもOKです。

会社作るのに合計いくらかかるの?

会社設立に必要な費用をまとめると

  • 印鑑証明書の発行費用:数百円
  • 定款の認証手数料:5万円
  • 定款(公証人役場提出用)に貼る収入印紙:4万円
  • 謄本交付手数料:250円×定款枚数
  • 登録免許税:ほとんどの場合15万円

合計すると、『およそ25万円ぐらい+会社用の印鑑制作料』になります。

個人事業主と法人はどちらがお得?

これは、業種によっても異なってくると思うので、一概には言えないと思います。

会社設立に関する本は数多く発売されていますが、特に「個人事業主と法人どっちがお得?」系の本は注意が必要です。
法人にすると税金が安くなってお得なので、いますぐ法人にしなさいということを謳っている書籍が多く見受けられますが、たいてい社会保険料負担のことに触れず、税制面だけをフューチャーして「ね、お得になったでしょ^^」といって法人成りを勧めています。

法人にすると、厚生年金や健康保険料といった社会保険料の負担が一気に大きくなりますし、従業員を雇用すると、彼らの社会保険料の半分や、労働保険の負担が必要になります。

参考までに、2ちゃんねるのレスを引用します。

【【【【【 法人成について 】】】】】 より

21 :名無しさん@そうだ確定申告に行こう:2008/12/06(土) 00:28:47 ID:JRDqQp8j
某事務所の話。噂に聞いた某事務所だ。俺の事務所じゃないw

法人成りで毎月顧問料が取れるからって収入500万以上の
個人に会社作らせまくったはいいけど、登記費用で疲弊し、
均等割り払ったら資金繰り行き詰って決算料すら滞納だ罠w

一方で、法人の方が個人事業主よりも経費を組み入れやすいなど、メリットが大きい面もあるので、書籍に惑わされず、やはりここはしっかりと検討すべきだと思います。

税制面などトータルの部分で考えると、一定規模の利益がなければ法人化のメリットは小さいと思いますが、こちらの記事でも紹介したように、とりあえず会社を作ってから何をするか考えようというぐらいゆるい気持ちでも、年間負担額は7万円なので、フリーターでも十分、会社の設立、継続は可能だと思います。

参考にした本

私が会社を作る時に参考にした本を紹介します。
ほとんどの本に、定款のサンプルなどが記載されているので、見ながら書類を作って、後は公証人役場や法務局で聞いて修正箇所を教えてもらうとスムーズに書類が作れるはずです。

この中で一番参考になったのは「会社をつくるときのありとあらゆる届出・手続きができる本
」です。

結構な冊数を買い込みましたが、全部熟読したわけではなく、適当にパラ読みして、あとはわからないことがあった時に手引き書として使うという感じでした。

上から、おすすめ順に紹介しています。
税制などは定期的に変わるので、書籍を購入する時は最新のものを入手してください。

さいごに

こうやって書き出すとめんどくさそうに思えますが、期限が決められているわけではないので、時間のある時に一つずつ作業を進めていけばば、誰でも一人で会社を作ることは可能です。

不明な点があれば@yuya_qにお声がけください。
私も素人なのでまともな回答はできないかもしれませんが、分かる範囲でお答えします。

間違っている部分があれば、指摘をしていただけると助かります。

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この記事へのコメント

この記事では、以下のコメントをいただきました。
(現在はコメント欄は閉鎖しています。)

コメント件数 [1件]

はじめまして。
静岡で風俗店を経営している三並です。

ちょうど、風俗を媒体にして会社の設立を思案していた折に
ホームページを拝見させていただきました。

とても簡潔でわかりやすかったです。

ポンと背中を押していただけたような気がしました。

まだ齢20そこそこですが、若さ(笑)と好奇心で頑張れそうな気になってまいりました。

やる気のあるうちにぼちぼちやってみます。
ありがとうございました。

三並 | 2012年10月30日 22:26

最後まで読んでいただきありがとうございました

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